今回は住宅の省エネ性能の説明を受ける際に役立つ、用語や単位を解説していきます。
省エネ法
1979年に制定され、1998年に改正された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の通称です。
トップランナー基準
製造事業者(メーカー)などに、現在商品化されている機器や製品を最高クラスのエネルギー消費効率以上に開発製造するものです。
中でも、トップランナーと呼ばれる各々の機器・製品は、各分野の省エネ基準をクリアし、現在商品化されている製品のうち、エネルギー消費効率が最も優れている製品・機器をいいます。モデルチェンジや新商品が発売することで、常に情報が更新されます。
ZEH(ゼッチ)とは
「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略。年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとする(使うエネルギー≦創るエネルギー)住宅運用の仕組みを指します。
ZEH住宅には、HEMS(ヘムス)という、住宅内の消費エネルギー量と太陽光発電等で創るエネルギー量を確認できるシステムが必要になります。
BELS(ベルス)とは
2014年からスタートした建築物の省エネルギー性能を表示する第三者認証(認定マーク)制度です。
BEIとは
建物の一次エネルギー消費性能の指標を表す数値です。数値が小さいほど省エネな建物とされます。
BELS(ベルス)の5段階評価、☆の数はBEIの数値が元になります。
BEIの計算方法は建築物の用途、大きさ規模によって計算プログラムが異なります。
戸建住宅の場合は、外皮性能・一次エネルギー消費性能を計算します。
パッシブハウスとは
パッシブハウス(Passive house)とは、ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅で専用温熱計算ソフトPHPPにて算定され、認定を受けた住宅を指します。
パッシブハウスとパッシブデザインは異なるものです。
【日本におけるパッシブハウス性能基準】
1㎡当たりのエネルギー量 kwh/㎡(年間)
・冷暖房負荷が各15kwh/㎡以下
・一次エネルギー消費量(家電も含む)120kwh/㎡以下
・気密性能として50㎩の加圧時の漏気回数0.6回以下(漏気回数0.6回以下=隙間相当面積(C値)=0.2c㎡/㎡以下)
先程から多く出てくる一次エネルギーについて解説していきます。
省エネ性能について説明する際は、一次エネルギーでお伝えするため、普段私たちと馴染みのある二次エネルギーとは異なります。
一次エネルギーと二次エネルギーの違い
一次エネルギー
天然ガスや石油、石炭などの化石燃料や、原子力、水力などの自然から取られたままの物質を源としたエネルギーです。
これら化石燃料は、基本的にはそのままエネルギーとして使用できないので、発電所や石油製油所などで加工され、二次エネルギーとなり私たち消費者に届けられます。
太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどを総称して自然エネルギーと呼びます。
太陽光発電などは、一般家庭にも取り入れられているので、二次エネルギーとしても利用されます。
二次エネルギー
都市ガスや電気、ガソリンなど、一次エネルギーを変換・加工したもののことをいいます。私たちがよく使うエネルギーは、二次エネルギーになります。
ガス
天然ガスや原油を精製したときにできるLPガスなどは、都市ガスやLPガスとして一般家庭やオフィス、工場などで使用されます。
ガソリン・灯油
原油を精製して重油・灯油・ガソリン・LPガスを作ります。その中からガソリン・軽油は自動車の燃料に使用されます。
電気
火力発電や原子力発電、水力発電を利用して家庭やオフィス、工場などに送電されるエネルギーが電気です。
主に原油を生成した石油、石炭、天然ガス、ウラン鉱石などの一次エネルギーを加工して電気を作ります。
エネルギーの単位について
私たちがよく使う二次エネルギーの単位は、それぞれ異なる計量単位 m3、L、kWh、MJ など使用されています。
それを一次エネルギー消費量へ変換することにより、建築物の総エネルギー消費量を同じ単位(MJ、GJ)で求めることができるようになり、BEI(建物の一次エネルギー消費性能の指標)の消費性能を計算することができます。
家の省エネ性能の説明を受ける際、役立つ情報でした。
ちなみに、私たちがよく使うG2,G3等は断熱性能のグレードになります。
『解説!!住宅性能の値』2020年4月18日投稿
と合わせてお読みいただけると、断熱性能について知ることができます。
↓
https://www.nacca-design.com/value-in-performance-20200424/