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2021年エコハウス&住宅性能記事の総集編

今年は19本、省エネと住宅性能に関する記事を投稿させていただきました。

2021年最後のエコハウス&エコライフは2021年に公開した記事を一度に読める総集編でお届けしたいと思います。総集編は公開順ではなく、より多くの方に省エネやエコな暮らしに関心をもって頂けるように、分かりやすい解説に努めさせていただきます。
そして…かなりの長い記事になります。

 

はじめに、エコハウス&エコライフの記事を書くきっかけになった『なぜ高性能住宅が増えてきているの??』を解説したい所なのですが・・・これまた長文になるので、リンクを下に貼ておきます。

まだ読んだことがない方は長文記事ですが、是非ご覧いただけると幸いです。

↓ 

https://www.nacca-design.com/ecolife-ecohouse01/

本題!!

私たちが住宅の断熱性能を高い水準を推奨する理由は、健康で快適に暮らせる住まいづくりと、今以上に省エネ性能を求める背景があるからです。

省エネは、世界規模の課題である気候変動問題解決に向けた取り組みと直結します。

現在、世界120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」を目標に掲げ、温室効果ガスの排出量の削減と森林や海洋の保全活動を行うことで吸収作用の強化を進めています。

私たちの暮らしでも、家庭部門での二酸化炭素排出量削減が求められています。

 

エネルギー問題

世界のエネルギー消費量は年々増え続けています。国際エネルギー機関(IEA)のデータでは、2040年の世界のエネルギー消費量は、2014年と比べておよそ1.3倍に増加する予測をしています。

生活に欠かせないエネルギーとはどのようにして出来ているかを解説します。

 

普段私たちが使用しているエネルギーは『二次エネルギー』と呼ばれます。二次エネルギーは、一次エネルギーを変換・加工され、都市ガス・LPガス・ガソリン・灯油・電気となって私たちが利用するエネルギーになっています。

 

一次エネルギーは、天然ガスや石油、石炭などの化石燃料などの自然から取られたままの物質を源としたエネルギーです。

 

 

地球温暖化問題は、人類が使用するエネルギーの増加よってこった問題です。しかし、発展途上していく為にはどうしても必要なエネルギー資源でもあります。

私たちは、地球環境の保全に取り組みながら、限りある資源を有効に活用する暮らしが求められています。

 

 

出来ることから始めよう

限りある資源は、一次エネルギーの源である、天然ガスや石油、石炭などの化石燃料です。

 

これらの消費量を減らす為には、省エネ性能が高い製品への買換え、宅配BOXの設置、自動車の利用を減らし公共交通機関サービスを利用する、食品のロスを減らすや買い物など、日々の生活の中で選択を変えるだけでも、二酸化炭素排出量削減できます。

  

省エネ性能が高い家電への買換えの時に得するトップランナー製品・省エネ製品の選びについて解説します。

 

トップランナー基準とは??

トップランナー基準は、「省エネ法」として知られる、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の「機械器具等に係る措置」にて定められたものです。

1997年に京都で開催されたCOP3(コップスリー:気候変動枠組条約第3回締約国会議)を受け、1998年に省エネ法の大幅な改正が行われました。

この中で、運輸部門と家庭部門のエネルギー消費の増加を抑えるために、エネルギーを多く使用する製品・機器等ごとに、省エネルギー性能の向上を促すための目標基準値をトップランナー基準値といいます。

例えば↑画像の各種エアコン製品の省エネ性能の場合は、6.0より値が大きい性能値のエアコンがトップランナー製品になります。

消費エネルギー(電気代)を抑えたい方には、トップランナー基準をクリアした製品をオススメします。

 

 トップランナー制度、トップランナー基準値の向上により、家庭部門CO2排出量の推移は減少傾向ですが、2030年に向けて温室効果ガスの排出を46%削減、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた通過点に過ぎません。

 

 

 

最新のトップランナー基準の値を把握してなくても、省エネ性能が高い家電製品を選ぶ際に、参考になるのが省エネラベルです。

省エネラベルは、カタログや製品本体、包装などの見やすいところに表示されています。

家庭用の主な対象製品は

電気冷蔵庫、電気冷凍庫、照明器具、テレビ、エアコン、電気便座、電気炊飯器、電子レンシ、DVDレコーダー、パソコン、ストーブ、ガス調理器具、ガス温水機器、石油温水機器、電気温水器、電球があります。

これらのを購入する際は、省エネラベルを参考にして頂きたいです。

そして

現在、販売されている製品に表示されている省エネラベルは下部画像の二種類あります。

なぜ二種類あるかはこのまま読み進めて頂けると理由が分かります。

 

省エネラベルの改定

2020年に先行して照明器具、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気便座の省エネラベルが統一省エネラベル(新ラベル)に変わりました。

 

2021年10月からは、テレビ、エコキュート(ヒートポンプ式給湯器)、ガス温水機器、石油温水機器が目標年度と新しい省エネ基準値を記載した統一ラベルの多段階評価になります。テレビと各種温水機器のラベル表示は、2023年3月31日までは、旧ラベル表示でもOKとなっています。

2021年10月〜2023年3月31日の期間は、旧ラベルと新ラベルの表示が混在します。目標年度を確認して製品を選ぶことをオススメします。

   

製品の評価方法

これまでの評価は5段階でした、多段階評価で41段階に細かく分けることで、消費者がより詳しく省エネ性が高い製品を把握することが出来ます。

多段階評価の方法は、0.1きざみの41段階(5.0~1.0)の評価点になります。

 

エアコン、照明器具、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気便座、テレビ、エコキュート(ヒートポンプ式給湯器)、ガス温水機器、石油温水機器、これらの製品が2021年10月時点での多段階評価対象製品です。

 

統一省エネラベルで知れること

 

①多段階評価点

市場における製品の省エネ性能の高い順に5.0~1.0までの41段階で表示。★(色付きの星マーク)は多段階評価点に応じて色付されます。色付きの★が多い表示=省エネ性能が高いことを表しています。

 

省エネルギーラベル

省エネ性能マーク、省エネ基準値の目標年度、省エネ基準達成率、エネルギー消費効率を表示。

 

 

 

年間の目安電気料金

エネルギー消費効率をわかりやすくするために年間の消費電力量の目安を表示。

 

トップランナー製品を選ぶには??

トップランナー基準の製品の省エネラベルには、グリーンの省エネマークで表示されています。

次に確認していただきたいポイントは、トップランナー基準を達成すべき目標年度です。対象機器・製品ごとに年度が設定されています。

 

↓の表にある対象機器・製品の目標基準値は、一定期間が過ぎると新基準値となります。目標年度も更新される為、トップランナー基準の製品を選びの確認ポイントになります。

 

 

最新の省エネ家電対象機器・製品のトップランナー基準情報&省エネ基準達成率を知りたい方は、製品のカタログやメーカーの製品情報が記載されてホームページで確認する以外に

 

省エネ型製品情報サイト

https://seihinjyoho.go.jp/index.html

 

で確認し、比較検討をする方法があります。


住宅の省エネ性能について


 車や家電と同じように、住宅にも省エネ性能があります。

住宅の省エネ性能は断熱性能と比例します。

 

例えば、S55旧省エネ基準の家と次世代断熱等級6(HEAT20 G2基準の家)を比較した場合、冬場のリビングで温度設定20度のエアコン稼動した際、リビングの室温は同じ20度でも、窓際や床の表面温度、非暖房エリアの室温や体感温度に違いがあります。

なぜ同じ室温でも、体感温度に差が出るか??その理由は、熱が移動しているからです。

熱は温かいほうから、冷たい方へ移動します。

イメージイラストで言うと、床の表面温度が10.8度と18度に対して、人の体温が36度だった場合は体温のほうが高いので、低い温度の床へ熱移動(熱伝導)します。身近な物では、使い捨てカイロが暖かいと感じるのも、体温よりカイロのほうが高温の為、暖かいと感じるのは、熱移動(熱伝導)によるものです。

 その他に室内で起こる熱の移動の対流で起こることは、コールドドラフトです。

 コールドドラフトとは、主に冬季、暖かい室内の空気が冷たい窓ガラスに触れて冷やされ、床面に下降する現象で、冷気は窓に沿うように床に向かって動きます。そしてこれが「足元が冷える」原因になります。

  

 

 

   

結果

断熱性能が低い家では、冬は冷たい空気が低い場所に留まり足元が冷えるだけでなく、

床や壁や天井の表面温度が室温より低いため、冷たい床に体温を奪われ寒く感じ、暖房器具の追加設置や省エネ推奨の設定温度である20度以上にするなどして、低体温症や健康被害から身を守らなくてはならないのが、断熱性能が低い家で起こるエネルギーロスです。

今のお住まいがどの省エネ基準で断熱材が入っている家なのかを知ることも省エネに必要な知識の一つです。知ることで、建替えや省エネリフォームをすることで、環境とお財布に優しい暮らしが可能です。

 

ナッカデザインでは、省エネH28基準(断熱等級4)から現在受注の多いHEAT20 G2(断熱等級6)さらに、上を目指した断熱性能で家づくり、エコハウスが可能です。

 

 

私たち住宅会社がこれからの省エネ時代で社会貢献出来ることは…

・エコな暮らしの情報提供

・省エネ性能が高い家の設計施工。内覧会を通じて周知活動。

・気候変動による暮らしへの影響に備える適応策の提案。

 

特にこのブログを通じてお伝えしたいことは…

住まいを選ぶ際、少しでも断熱・省エネ性能が良い建物(BEI値が低い建物)を選ぶ

 

そうすることで住まいてにもメリットがあります。例えば

・年間冷暖房使用量が減る=電気代が抑えれる

・必要エネルギーが減る=余分なエアコン、暖房器具を購入しなくていい

・創エネの太陽光パネルの枚数が減る=太陽光パネル設置に必要なイニシャルコストと入替え時コストが減る 

 

などあります。

 

このブログで断熱性能の違い、省エネなエコハウスに興味関心を持って頂き、住宅性能についてもっと知りたい方は、この後の文中をご覧下さい。

エコハウスの基本を知って頂けるコンテンツを並べさせて頂きました。

 

【エコハウスの基本知識】

・外皮性能、UA値について

・家の窓からのエネルギーロス

・窓の性能値について

・枠の性能、Uf値について

・ガラスの性能、Ug値について

・自然エネルギ―を活用する窓+α

・平均日射熱取得率【ηA(イータエー)値】

・夏場の平均日射取得【ηAC(イータ・エーシー)値】

・冬場の平均日射取得率【ηAH(イータ・エーエイチ)値】

・窓の性能比較一覧表

・ZEHとHEAT20 G2,G3違いについて

・気密性能C値について

・パッシブハウスとパッシブ設計(パッシブデザイン)の違い

・パッシブハウスの基準

 

の内容が知ることが出来ます。

実際に高性能な家を見学されたい方、高性能な家づくりを相談したい方は

『予約ボタン』からお問い合わせください。


エコハウスの基本知識


住宅の省エネ性能は、外皮性能(UA値)と一次エネルギー消費量(BEI値)の値で計算されます。

 

外皮性能とは、建物の外壁、屋根、外気に接する床(ピロティ)、窓(開口部)など建物の外周部分の構造体の断熱性能をいいます。

外皮平均熱貫流率【UA(ユー・エー)値】とは??

外皮熱貫流率とは、熱貫流率のU値をもとにして住宅の内部から屋根(天井)、外壁、床、窓(開口部)や基礎立上りを通過して外部へ逃げる熱量を外皮合計面積で割った値です。

数値が小さいほど断熱性能が高い住宅です。

 

 

※室内の壁から断熱を通り屋外へ出る熱量のイメージ拡大図
         ↓ 

建物内外の温度差が1℃の場合の、部位ごとの熱損失量の合計を外皮の表面積で割ったものがUA値です。
U値の単位は、W/㎡・K(ワット パー 平方メートル・ ケルビン)で表されます。

 

家の窓からのエネルギーロス

H28省エネ基準レベル/断熱等級4の家で多く採用されている、ペアガラスのアルミサッシ(窓性能値:U値4.65W/㎡•k程度)を延床面積120.08㎡の2階建の断熱性能Ua値0.87家で検証した結果。

 

 

 

夏は窓から74%の暑い熱が室内に侵入し、冬は窓から50%の暖めた熱が屋外へ逃げていき、窓などの開口部から一年を通して多くのエネルギーをロスしていることがわかっています。

これから省エネ時代のエコハウスには、サッシからのエネルギーロスを減らせる高性能な窓が必要になのです。

 

 

窓の性能値について

サッシ(窓)の断熱性能を比較する際にみて頂きたい値は、熱貫流率U(Uw) 値です。

 窓の熱貫流率は、同じ窓シリーズであっても、窓のバリエーションタイプやサイズによってUw 値が変わります。

 サッシ(窓)性能の性能値【Uw 値 】は、枠の性能値【Uf 値 】とガラスの性能値【Ug 値】の値と窓のサイズから計算され窓の熱貫流率のU値が表示されています。

 

枠の性能、Uf値について

枠は、窓の周囲にあるフレームの部分を言います。

枠の性能Uf値は、枠の素材の熱抵抗値と枠内の断面構成部材の熱伝導率と構成部材の厚みで数値化されます。

 

まず枠の素材の熱伝導率によって熱の伝わり方は変わります。現在日本で販売されている主な枠の素材は、『アルミ』『樹脂』『木材』この3つです。

 

各枠素材の熱伝導率は、アルミ200W/m・k 、樹脂0.17W/m・k 、木材0.12W/m・k です。

アルミは、熱伝導率が高く、熱が高温から低温へ運ばれる熱移動時に熱が伝わりやすい特徴を活かして、お鍋やバットなどの料理器具にも使われています。

樹脂と木材は、アルミに比べ熱移動時に熱が伝わりにくい為、断熱性能を高めたい住宅建材にも使用されています。

 

次に、高性能なアルミや樹脂枠の内部断面構成で中空層の『チャンバー』とスペースがあります。

チャンバーは、いくつもの中空層があることで枠の断熱性能を高めることが出来ます。

そして、枠の断熱強化でチャンバーの中に断熱材が入った窓枠もあります。

今回のサッシ断面画像はYKKAP株式会社さんのAPW330、APW430とAPW430+の画像をお借りしました

サッシ枠内に断熱材が入ることで、枠のUf値が下がり、トリプルガラスのUg値とのU値バランスが良くするためです。

熱伝導率が高く性能が低いと言われていたアルミサッシも断熱材が枠に入ることで、アルミサッシのUf値が劇的に変わり、高性能アルミサッシになります。

パッシブハウスのデータベース参照『EUROPA社』の断熱材入高性能アルミサッシのスペック

Uf値0.57W/(m2 •K)

Ug値0.7W/(m2 •K)

Uw値0.68W/(m2 •K)

ガラスの性能、Ug値について

ガラス性能のUg値は、ガラス枚数と複層ガラスの中空層の種類とスペンサーの熱貫流率で計算されます。

各メーカーカタログ記載のガラスの厚み、断面構成部材によって値がことなります。カタログなど値をご確認いただけます。簡単な目安で下記の表を作成しました。

 

自然エネルギ―を活用する窓+α

自然エネルギーの活用方法で、日射遮蔽(しゃへい)と日射取得があります。

「夏にいかに日射を遮り、冬にいかに日射を取り入れるか」という考えかたです。

日射遮蔽(しゃへい)と日射取得は、家の間取り、外観の計画など基本設計の段階で検討が必要です。

そうすることで夏のエアコン、冬の暖房エネルギー消費量の冷暖房負荷を軽減させることで省エネにもつながります。

 

平均日射熱取得率【ηA(イータエー)値】

住宅に侵入する日射熱量を表す数値です。実際に暮らす住宅にどのくらいの日射が入ってくるのかを表し、窓のガラス性能と日射取得を平行して検討、部材選定を行ないます。

平均日射熱取得率は、夏場の冷房期をηAC(イータエーシー)値と冬場の暖房期をηAH(イータエーエイチ)値の2種類があります。

これらの値は、地域の気候特性や気象庁データの日照時間や全天日射量といったデータを元にしながら省エネルギー設計の考えに組み込んでいきます。

 

ナッカデザインがある備後地域は5.6地域で全国的にも、晴れの日、日照時間が多い地域です。

その場合、夏場の暑さ対策にも考慮した省エネ設計が必要になります。

 

 

夏場の平均日射取得【ηAC(イータ・エーシー)値】

夏場(冷房期)の日中に、窓から直接侵入する日射による熱と、窓以外から日射の影響で熱伝導により侵入する熱を評価した、冷房期の指標値です。

夏場はηAC値が小さければ冷房効果を高くなり省エネになります。夏場はηAC値を小さくするには、夏場の日射角度を考えた庇(ひさし)や窓から侵入する熱を防ぐすだれや屋外ブラインド等で工夫をしていきます。

涼しい地域(断熱性能地域区分では1~4地域)は2020年の段階で定められたηAC(イータエーシー)値基準値はありません。その他の5~8地域では下の画像のように基準値があります。

 

冬場の平均日射取得率【ηAH(イータ・エーエイチ)値】

冬場(暖房期)の日中に、窓から直接侵入する日射による熱と、窓以外から日射の影響で熱伝導により侵入する熱を評価した、暖房期の指標値です。

冬場のηAH値が大きければ大きいほど冬場の暖房費を抑えることができ省エネになります。冬場のηAH値を大きくするには、冬場の日射角度を考えた庇(ひさし)や高性能窓、そして窓ガラス性能(Ug値)を導入することで、大きく変わります。

 

 

窓の性能比較

窓からのエネルギーロスは年間平均約60%あります。省エネなエコハウスには、窓が肝心です!!

日本の窓は、基準規制がないため窓性能に大きな差があります。

窓選びの参考になるように、現在輸入品を含めて日本で販売している窓と世界トップランナーのパッシブハウスのコンポーネントデータベースを参照にして表を作成してみました。

 

2021年12月時点のデータです。また新商品や、新たに認定を受けたデータがあると変わります。

 

 

ZEHとHEAT20 G2,G3違いについて

ホームページの検索キーワード回覧や内覧会時やご相談窓口に多い質問、『ZEHとHEAT20 G2,G3違いについて』を解説させていただきます。

 

ZEHとは、ZEH/ゼロ・エネルギー・ハウス(ゼッチ)とは、高い断熱性能と高効率な設備で2次エネルギー消費を抑え、太陽光発電等による再生可能エネルギーを導入することにより、住宅運用時の年間一次エネルギー消費量を実質ゼロ目指した住宅運用の仕組みをZEHといいます。

このZEH住宅の運用にあたって、地域区分6地域の最低断熱性能(UA値)基準値は令和3年12月時点では0.6W/㎡・kになります。

ZEH+(ゼッチプラス)になると、より高い断熱性能(UA値)基準値が求められ令和3年12月時点で、地域区分6地域は0.5W/㎡・kになります。

ZEHと同じカテゴリーにあるのが、

LCCM/ライフ・サイクル・カーボン・マイナス(エルシーシーエム)住宅とは、建設時、運用時、廃棄時において出来るだけ省CO2に取り組み、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO2排出量も含めライフサイクルを通じてのCO2の収支をマイナスにする住宅運用の仕組みです。

 

参考:『ご注文は省エネ住宅ですか?』

(建築物省エネ法特設ページ/国土交通省)

 

ZEHとHEAT20 G2,G3違いは…

ZEH住宅を建設するにあたって、UA値の数値、『UA値〇〇W/㎡・k』などを省略するために断熱性能欄にZEH基準などと記載することもありますが、

ZEHとは、人が住み始めてからの年間一次エネルギー消費量を実質ゼロ目指した住宅運用の仕組みです。

 

そして、HEAT20G2,G3は断熱性能の呼称になります。地域区分ごとに異なる断熱性能の値を『G2』『G3』簡単に伝えている単語です。

 

 なぜ、ZEH基準・G2・G3の呼称がうまれたかというと・・・

 これまで、国が定める住宅性能表示の『断熱等性能等級』には最上位の等級4(※上記の表)までしかなく、断熱等級4以上の断熱性能を伝える方法が、住宅の熱損失係数の値の『Q値』や外皮平均熱貫流率能の値『UA値』またはZEH基準相当と様々な伝え方でした。

 

 

そこで、HEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)が提唱したのが、地域区分で異なる断熱等級4以上、ZEH基準相当を上回るUA値(断熱性能)の値を伝わりやすくしたのがG2、G3と言う呼称でした。

戸建住宅の断熱等級設定について、現行制度では等級4が最上位ですが、ZEH水準に当たる断熱等級5を新設し、改正基準の施行は2022年4月1日からになりました。

さらに上位の等級6(HEAT20のG2相当)と等級7(HEAT20のG3相当)も新設され、断熱性能を『等級2〜7』の6段階でお伝えるする日はそう遠くないと思います。

 

次によくあるご質問

 

G2の家でも寒くないでしょうか??

こちらのご質問の回答について、質問者が現在の住まいのどこに寒さを感じているかがポイントになります。

 

例えば、

お風呂場がリビングに比べて寒い場合。

室内の温度ムラを無くす方法で断熱強化になりますが、いくら断熱を強化しても、お風呂の窓からのすき間風が寒いと感じる場合は、気密性能のC値が重要になります。

 

気密性能C値について

C値とは?

C値とは相当隙間面積のことで『住宅にどれくらいの隙間があるのか』を表した数値です。

 

住宅の隙間(C値)を知るために必要な総相当隙間面積(αA)を機械で測定し、数値化します。

気密測定には減圧法と加圧法という二つの測定方法があります。

ナッカデザインの気密測定は室内の空気を外に出していく減圧法で測定しています。

 

 減圧測定は送風機を回すことで室内の空気が外に出て行き、室内と屋外で圧力差が生じます。

 その圧力差を計測することで総相当隙間面積(αA)の数値を計測します。
隙間面積が小さいと、送風機で室内の空気を外に出すと、外から空気が入って来づらいため、圧力差が大きくなります。

反対に隙間面積が大きいと、いくら送風機で空気を外に出しても、各所にある大きめの隙間から外気がはいり、内外の圧力差の数値が小さいままです。

外に出した空気の量・室内と外気との気圧差を測ることで「総相当隙間面積(αA)」を数値化し、総相当隙間面積(αA)を住宅の延べ床面積で割った値が相当隙間面積(C値)になります。

 

C値は、数値が小さいほど隙間が小さくなり、気密性能に優れていることを示します。

気密性能が高くなると、断熱材が本来の性能を発揮して暖かくなり、また壁体内結露が起こりにくくなります。

 断熱性能以外にも、省エネ性能を高くするためには、気密性能も大切です。

高気密、高断熱の家を考える際に気をつけてほしいポイントは、『G2、G3の家だから気密性能も高いはず』

G2、G3は断熱性能について表しているので、『G2、G3=断熱・気密性能』の認識とは異なります。

気密性能は、国で定められた水準がないからこそ、気密測定でC値をしっかり確認しましょう。

 

ZEH、ZEH+、LCCM = 住宅運用の仕組み

 

断熱等級5、ZEH水準の断熱、G1、G2、G3 = 断熱性能を表す単語

 

Q値、UA値 = 断熱性能の数値に関する値

(値が小さければ断熱性能が高い)

 

C値 = 気密性能の数値に関する値

(値が小さければすき間が少なく気密性能が高い)

 

世の中には・・・

 断熱性能がG2、G3のZEH・ZEH+の家も存在します。

断熱性能がG3で、気密性能C値5.0c㎡/㎡の家も存在します。

 

パッシブハウスとパッシブ設計(パッシブデザイン)の違い

パッシブ設計(パッシブデザイン)は、一言で伝えるなら『建物設計×自然エネルギーの活用』になります。代表的な例では

 

日射熱の利用

冬場に窓(開口部)から太陽熱を取り入れ、その熱で室内の暖房負荷を減らす。

 

日射遮蔽の手法

夏場に窓(開口部)から室内へ侵入してくる太陽熱を遮断して、室内の冷房負荷を減らす。

 

自然風の利用

春や秋などの中間期に外気を取り入れ快適に過ごす。

 

高断熱・高気密化

暖めたり、冷やしたりした快適な室温を持続させるために必要です。

空気の漏れが多いと室温の持続は難しく、通風・換気時にスムーズな風の流れをつくる事が出来ません。

 

昼光の利用

昼間の明るさを室内に取り込み、人口照明の利用を減らす。

 

建築設計手法は他にもありますが、主に日射熱の利用・日射遮蔽の手法・自然風の利用・高断熱・高気密化・昼光の利用を考慮し、建物の性能を高めたのがパッシブ設計(パッシブデザイン)です。明確な基準値は特にありません。

 

PHJ(パッシブハウスジャパン)が呼ぶパッシブハウスとは??

パッシブハウス(Passive house)は、環境先進国ドイツで物理学者ファイスト博士が導き出した家の省エネ基準です。

特徴としては、専用計算ソフトを用いて、建築地の条件を読み解き、「温度」「熱量」「エネルギー」を計算し、建築の温熱性能を確認することで、日本ではパッシブハウスジャパンが定めたエネルギー消費基準を満たし、認定を受けた建築がパッシブハウスと呼ばれます。

 

パッシブハウスの基準

・暖房負荷が15kWh/m2以下であること

※冷房負荷については地域によってことなります。福山市の場合は22kWh/m2以下であること

 

・気密性能として50Paの加圧時の漏気回数が0.6回以下であること

※C値換算約0.2c㎡/㎡以下

 

・一次エネルギー消費量(家電も含む)が120kWh/m2以下であること

 

3つの基準をパッシブハウス研究所認定の専用ソフトで計算しクリアした建物がパッシブハウスなのです。

 

 

パッシブハウスの性能基準をクリアするためには、建物で5つの要素が重要になります。

 

・断熱が十分されていること

 

・パッシブハウスに最適な窓が採用されていること

 

・熱交換できる換気のしくみがあること

 

・気密が十分確保でき、維持できること

 

・熱を伝える「熱橋」に対して配慮がしてあること

同じパッシブの単語でも、基準が明確なパッシブハウスと、明確な基準がないパッシブ設計(パッシブデザイン)では、建物省エネ性能に大きな違いあります。ナッカデザインが会話でお伝えするパッシブハウスは、ファイスト博士が導き出した家の省エネ基準のパッシブハウスです。

エコハウス・高性能住宅が人気になるからこそ、本物のパッシブハウス基準を知っていただき、「家の燃費」省エネ性能についても吟味して頂きたいです。

 

 

 

ナッカデザインでは、月に1回家づくりに関するイベントを開催しております。
興味がある方は是非、下のバナー又は、ホームページトップのイベント情報からご確認ください。

 

 

 

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